「父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え」は実践的な投資内容だった

インデックス投資について調べていたら、「父が娘に伝える自由に生きるための 30 の投資の教え」という本がおすすめとあったので、早速読んでみました。
タイトルからすると、自己啓発本のように 30 の見出しにちょろっと大切なことが書いてあるのかと思いましたが、内容はとても実践的かつ理論的なものでした。
30 の教えとありますが、各項目の中で見出しが 5 つに分かれていたりします。全部は覚えていられないので、印象に残った部分だけを抽出してレビューします。
伴侶と大臣のたとえ
お金の稼ぎ方、使い方を伴侶と大臣に例えています。
大臣に仕える人はこう言います。
「大臣の扱いがわかれば、出世して多くのお金がもらえる。質素な暮らしなんてしなくていいんだ。」
一方、伴侶はこう言います。
「質素な暮らしを覚えれば、大臣に仕える必要なんてなくなる。」
皮肉っぽいですよね。この例えは、大臣を会社としてみるとわかりやすいでしょう。質素に暮らすことができれば、会社に勤めることなく自由に生きていけるということです。
著者は、この例えから、「会社に縛られないお金」を持つことで自由になれると言っています。
借金はしない
借金はしてはいけません。ローンという言葉に踊らされて家や車を買う人がいますが、それも借金です。著者は、「マイホームは道楽である。」と言っています。道楽として楽しめるくらいお金を持っていれば家を買ってもいいということです。逆に、自由なお金がないのに借金をしてマイホームを買うのはやめたほうがいいのです。
これから投資の話が続きますが、投資のリターンは長期的に見て 11%、安定した配当生活を行うには 4%で計算するといいと言われています。一方、消費者ローンの金利は 14%を超えてきます。いくら投資をしても借金をしてしまったら、マイナスのキャッシュフローが生まれてしまうのです。
借金はやめましょう。ローンも同様です。
株 100%のインデックスファンドに投資する
資産を形成する段階では、株 100%のインデックスファンドに投資することをおすすめしています。インデックスファンドの中には、株だけでなく、債権や不動産(リート)を含んでいるものもあります。しかし、資産を増やしたいなら株 100%が良いと言います。
資産を維持する段階になったら、債権を組み込み、リバランス(調整)していくべきです。債権はリスクは小さくなるものの、リターンも少なくなります。資産をいち早く形成するためにはある程度のリスクを取らないといけませんから、株 100%のインデックスファンドへの投資がベストな選択です。
バンガード社のインデックスファンドがおすすめ
著者は、VTSAX というファンドをおすすめしています。VTSAX は米国全体に投資するファンドです。同様の ETF に VTI がありますが、ETF は売買手数料がかかるから注意が必要です。
しかし、日本からバンガード社のファンドを買うなら、VTI でもいいと思います。つみたて NISA なら、バンガードのファンドに投資している日本の証券会社が、日本のファンドとして商品を出しています。
つみたて NISA の枠内であれば、日本のバンガードファンドにしか投資できません。
バンガード社をおすすめする理由は、経費が少ないからです。これには僕も賛成ですが、他にも経費が安いファンドはありますし、日本のファンドなら為替手数料などもかからないのでお得です。アメリカ人と日本人では取るべき戦略が変わってくるという点も考慮しましょう。
アドバイザーの言うことは無視する
アドバイザーや証券マンの言うことは無視しましょう。彼らは手数料の高いアクティブファンドを勧めてくるからです。仮にアクティブファンドの成績がいいとしても、これからもいいとは限りません。それでも手数料というのは常に払わなければいけません。
インデックスファンドをネット証券で購入するのが一番手数料が安く、確実なリターンを生み出すのです。アドバイザーの言うことはわかりませんから、シンプルにインデックスファンドに長期投資しておけばいいのです。
寄付をするべき
著者は、寄付をするべきだと言っています。寄付をすることで、自分の幸福度も上がりますし、税控除にもなるからです。(日本でも控除されます。)
寄付にお金を使うという考え方は、日本ではあまり浸透していません。僕もお金がなくなる一方だし、なにか良いことがあるのかわかりません。でも、収入の数%を寄付してみたら何かが変わるかもしれません。
収入の半分を貯金し、投資に回す
収入の半分で生活しましょう。残りの半分は貯金し、全額投資に回します。これで、「会社に縛られないお金」が手に入ります。
収入の半分で生活するのはとても難しいです。贅沢はできないですし、突然の出費があったら、すぐに半分を超えてしまいます。
おそらく、家賃が支出のほとんどを占めると思うので、家賃を安くする方法を考えましょう。もし収入の半分で生活できるようになれば、アーリーリタイアはすぐ目の前です。
生活費が投資金額の 4%以内なら引退できる
4%ルールというやつです。市場の暴騰や暴落を考えても、投資金額は 4%ずつ上昇していくという理論です。いつの時代も 4%ルールが当てはまるわけではありませんが、歴史的に見ると正しいということです。
つまり、生活費の 25 倍の投資金額があれば、自由に生活できるのです。これを達成するのは容易ではありませんが、生活費を下げ、投資金額を多く積み上げることで可能です。
僕が計算したところ、収入の半分を投資に回すと、25 年でリタイアできることになります。収入の増加や年金、税金を含めると誤差は生まれますが。
4%ルールは、地道に続けていれば確実に達成できるものです。特別なスキルやアイデアは必要ありません。投資金額を積み上げていきましょう。
まとめ
本書のエッセンスをまとめます。
- 借金をしない
- キャリアを積む
- コストをかけずに生活する方法を磨く
- 収入の半分を投資に回す
- 資産の 4%で生活できるなら、経済的自立を達成したことになる
- 独立を達成したら、債権を組み込む。それまでは株 100%
以上です。
非常にわかりやすく、誰にでもシンプルで実践的な内容でした。注意点としては、VTSAX というファンドの成績が 2020 年現在にどうなっているかを確認しておくこと。日本から米国ファンドを購入するときの手数料や税金について調べておくことなどです。
日本にもつみたて NISA やイデコなどの節税できる制度がありますので、合わせて検討してみるといいでしょう。