エンジニアは転職が多いと採用で不利になるのか

「転職回数が多いと次の転職で不利になる」
日本の転職市場ではよく言われることです。
この言葉を信じて、転職=悪というイメージがついている人も多いのではないでしょうか。
転職=悪というイメージとは裏腹に、IT 業界では転職を繰り返して当たり前だと言われています。
なぜ、IT 業界、特にエンジニア職は転職を繰り返すのでしょうか。
エンジニアは転職が多いと採用で不利にならないのでしょうか。
結論は、転職する会社によって違います。
これでは元も子もないので、大きく分類すると、大企業は不利になりやすく、ベンチャー企業は不利になりにくい傾向があります。
それぞれの理由について解説していきます。
なぜ大企業だと転職回数が不利になるのか
大手の IT 企業は、IT 業界といっても中身は大企業文化が残っています。
なので、転職回数が多いと採用に不利に働くことがあるのです。
大企業には終身雇用の文化がある
大企業は IT 業界であっても、終身雇用の文化があります。
僕が新卒で入社した大企業も終身雇用の文化があり、転職する際には止められました。
「一度入社した会社は基本やめない」と信じているので、出ていく人は止めようとするし、途中から入ってこようとする人は受け入れがたいのです。
ただでさえ転職者を受け入れないのに、転職回数が多い人はなおさら受け入れることができません。
長く勤めないとできない業務が多いから
なぜ大企業には転職者を受け入れない文化があるのでしょうか。
それは、長く勤めないとできない業務が多いからであると考えます。
IT 業界で使われるプログラミングスキルは全世界共通で使えるものですが、日本の大手 IT 企業には、独自の WEB サービスや、社内のことを知らないとできないことがあります。
例えば、以下の通りです。
- 自社開発した申請サービスやポータルサイト
- プロジェクトごとに作った課題管理サービス
- 承認をもらうまでのプロセス
これは資金力のある大企業だからできることですが、逆に人材の流動性をなくしてしまっています。
社内で最低数年間は働いてもらわないと実力が発揮できないシステムがあるため、転職が多い人は採用したくないのです。
なぜベンチャーでは転職回数が不利にならないのか
では、なぜベンチャーなら転職回数が不利にならないのでしょうか。
それは、プログラミングスキルさえあればみな同じ業務ができるからです。
以下、具体的に説明します。
スキルと実績しか見ていない
ベンチャー企業が採用するときは、スキルと実績を中心的に見ます。
スキルと実績さえあれば、転職回数などは関係ないのです。
プログラミングスキルがあれば、すぐに業務に取り掛かることができるので、社内に慣れるまでの時間が短く、高い流動性を保つことができます。
海外では、このような成果主義で判断することが多く、合理的な採用基準でもあります。
長く勤めてもらおうとは思っていない
ベンチャー = 転職が当たり前という文化になってしまったので、企業側も長く勤めてもらおうとは思っていません。
数年でやめていくだろうから、次の優秀な人材を採ろうとしています。
IT 業界は流れが早いので、使っている技術が廃れてしまって、転職されてしまうこともあります。
大企業になっていけば、終身雇用として長く勤めてもらうこともできますが、ベンチャーである以上は早めに転職されてしまうのは仕方がないのです。
会社が長く続かない可能性があるから
そもそも企業側が何年も持たない場合があります。
まだ利益が出ておらず、投資してもらったお金でやりくりしている会社もあります。
そのような会社が 10 年、20 年と雇用を続けられる保証はないので、従業員にも早めの転職を促すしかないのです。
業界全体が転職を繰り返す文化であるため、企業も人材も流動性がとても高くなります。
大企業に行ってからベンチャーに転職がおすすめ
ここまでの流れを整理すると、以下の通りです。
- 大企業は転職者に不利
- ベンチャーは転職しても不利にならない
ということは、転職回数がゼロの新卒で大企業に入り、その後、ベンチャーに転職していくのが転職活動を円滑に進める方法になります。
大企業入社は新卒に有利
「大企業には新卒カードを使わないと入れない」と言われます。
それほど転職で大企業に入るのは難しいということです。
であれば、新卒カードが使えるうちに大企業に入ってしまった方がキャリア的にはお得なわけです。
転職が多いならベンチャー転職が楽
2〜3 回の転職くらいならまだ大企業でもいいかもしれませんが、4 回、5 回と転職を重ねると大企業の人事も良い顔をしません。
転職回数が多いなら、ベンチャーへの転職を考えましょう。
ベンチャーなら転職回数が多いことが有利に働くこともあります。
いろんな事業を経験しているからです。
不利だと感じたらフリーランスになろう
ベンチャー転職でも回数があまりにも多すぎると、不利になる場合があります。
10 回以上転職を繰り返すと、短期間しか働かないので、さすがに企業側も採用するメリットを感じられないからです。
もし転職回数が多すぎて、転職が不利になってきたなと感じたらフリーランスになることも考えましょう。
フリーランスは転職がない
フリーランスは企業に属さないので、転職がありません。
あるのは契約の更新だけで、職場が変わっても経歴としては転職にはならないのです。
転職回数が多くなりがちな人はフリーランスに向いているのかもしれません。
数ヶ月で契約を更新するのが前提
フリーランスとして 1 つの職場で 2 年も 3 年も働くのは逆に珍しいです。
たいていは数ヶ月〜1 年くらいで契約を解除して、次の職場に移ります。
ベンチャー転職以上にフリーランスは職場移動の多い世界なのです。
スキルのみが評価される世界
フリーランスはスキルのみが評価される世界です。
シビアといえばシビアですが、転職の回数は全く見られません。
年齢もそこまで考慮されないので、年齢と転職回数を重ねてきた人はフリーランスとしてやっていくのもありでしょう。
転職回数別に働き方を変えよう
最後に転職回数別におすすめの働き方をまとめると、以下の通りです。
- 0〜2 回:大企業
- 3〜9 回:ベンチャー
- 10 回以上:フリーランス
回数に誤差はありますが、大企業 → ベンチャー → フリーランスという流れはエンジニアとして王道のルートです。
社会人になってからエンジニアになる人は、いきなりベンチャーに入る方法もありますが、新卒からエンジニアを目指しているなら、上記の流れがおすすめです。