こんにちは。ケンジです。
今回は、DX(デジタルトランスフォーメーション)について解説していきます。
DXって言葉は、ここ数年で流行りだしました。
簡単に言うと、非ITの産業をIT化して、時代に追いつこうという流れのことです。
キャッシュレス決済の推進とかが代表例ですね。
現金と帳簿で管理するのは時代遅れになってきているから、キャッシュレスにして効率化&グローバル化を進めていこうという流れです。
キャッシュレスのような身近なところから、工場のIoT化まで、幅広く用いられるのがDXです。
それでは、DXについてもっと詳しく解説します。
◯ この記事で分かること
- DXとは何か
- DXがなぜ必要なのか
- DXが抱える課題
- DXの事例
- DXエンジニアに必要なスキル
- DXエンジニアになる方法
盛りだくさんですが、ぜひ最後までご覧ください。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
経済産業省が発表した、「DXガイドライン」によると、DXは以下のように定義されています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
DXガイドライン
DXというと、アナログで行っていたことをデジタルに変えていく動きと思われるかもしれませんが、デジタル化、IT化とは違います。
DXとは、デジタル化した結果、新たな商品を生み出したり、ビジネスモデルを変えていくことまで繋げなければいけません。
DXが生まれたのはスウェーデン教授から
DXという言葉は、和製英語ではなく、スウェーデンの教授エリック・ストルターマンによって生み出されました。
2004年当時、DXの定義は、「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」でしたが、2022年2月に新たな定義がされました。
社会、公共、民間の3つの分野に分けて定義をしています。
以下に翻訳版の定義が掲載されています。
https://www.dxlab.jp/press/definition5
2004年当時は、IoTの推進=DX化と考えられていましたが、その後スマートフォンの普及などによって、もっと広くデジタル技術を使えるようになったことから、再定義されたと思われます。
なぜDXなのか?
デジタルトランスフォーメーションを略語にするとDTですが、データテクノロジーを被ってしまうため、「trans=交差」を意味するXが使われたようです。
しかし、transformationという言葉には「交差する」という意味は含まれず、「変化する、変形する」のような意味になるので、若干複雑ですね(笑)
DXと言えば通じるようになってきているので、DX=デジタルトランスフォーメーションって無理に覚えなくてもいいのかもしれません。
なぜDX(デジタルトランスフォーメーション)が必要なのか
なぜDXが必要なのかについて解説します。
競争力維持・強化のため
IT技術を使った新しいサービスがどんどん生まれている世の中についていくためです。
ITを使わない古いビジネスモデルでは、日本国内ならまだチャンスはあっても、グローバルでは通用しません。
今までにない新しいサービスを生み出すためには、IT技術を使うことが必須になりました。
ITを使わずとも何とか利益を出してきた企業に向けて、DXの推進を投げかけるようになった、というわけです。
ITシステムの老朽化改善のため
インターネットが使われ始めた2000年代に、多くの企業でITシステムが導入されてきました。
しかし、2022年になっても、導入した当時のシステムが使われていて、老朽化が進んでいます。
老朽化が進むと、トラブルが起こったり、メンテナンスのために開発速度が遅くなったり、データの活用が満足にできない状態になります。
既にみずほ銀行のシステムは老朽化しており、ここ最近で何回も障害が起こっています。
銀行のようなシステム改善が難しいような業種だと、老朽化が顕著に現れてくるので、素早いDX化が求められています。
◯ COBOL言語の需要
COBOLというプログラミング言語をご存知でしょうか。
最近プログラミングを学び始めた人は聞いたことがないかもしれません。
僕も、聞いたことがあるだけでどうやって使うのかは分かりませんし、使っている場面も見たことがないのですが、一部の銀行や保険会社のシステムではCOBOLが使われているようです。
COBOLはかなり古い言語で、もう使うメリットは無いのですが、老朽化したシステムでは未だに使われているようで、COBOLエンジニアは少しだけ需要があったりします。
これからプログラミングを学ぶ人は、COBOLに手を出す必要はありませんよ。(笑)
DX(デジタルトランスフォーメーション)が抱える課題
DX化を進めて欲しいという経産省の思いとは裏腹に、DX化するためには課題もあります。
DX化を推進できる人材がいない
僕らWebエンジニアは、IT企業に入って開発をします。
なので、非ITの会社に入って、ゼロからDXを推進する方法を知りません。
ITに詳しいWebエンジニアがDXの方法を知らないとなると、DX化を推進できるのは限られたITコンサルタントくらいになります。
Webエンジニアとしては、モダンな技術を使って、自由な働き方を望んでいますから、ITシステムが老朽化しているような企業で、DXを進めるという茨の道に進みたいと思う人が少ないのが現実です。
DX化を進めたいと思っている企業は、エンジニアを雇うために、
- フルリモート
- フレックス勤務OK
- 週3日〜OK
- Slackの導入
このくらいはしておかないと、厳しいかもしれません。
ITシステムを導入しても成果が出ない
DX=IT化と思っている人たちによって、エクセルを業務システムに変えたり、経理システムを最新のものに変えたりすることがあります。
しかし、それだけでは利益に直結しないこともありますし、そもそもDXとは、サービスやビジネスモデルを変革することであって、IT化による効率化ではありません。
効率化するのは良いことですが、ITシステムを導入するだけで、効率化すらできていないこともあります。
社内の人たちがDX化についてこれない
優秀なDXエンジニアを雇って、DXを推進していくとしても、社内の人たちの同意が得られないこともあります。
ずっと紙媒体と電話でやり取りしてきた重役に、「パソコンでPDFとチャットを使ってください」と言ってもなかなか難しいでしょう。
理論上は、パソコンを導入してITシステムを導入することで、新しいビジネスが見えてくるとしても、現場の人たちに受け入れられるわけではありません。
現場の人たちの仕事の邪魔をせず、徐々にビジネスモデルやプロセスを変えていけるような、慎重なDX化が必要になります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入事例
以下のリンクから、DXの導入事例を抜粋しましたので、解説します。
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2019FY/000312.pdf
【川崎重工業株式会社】社内PaaS作成
グループ会社ごとに別々の社内管理システムを使っていたようですが、それらを統一したようです。
このようなITシステムの導入だけでは、DXではなくIT化ですが、管理システムを統一したことで、社内のデータ管理が一元化できるようになるという発展があります。
◯ いいなと思った点
導入時は小規模展開、順次対象を広げていき、既存システムの老朽化に伴うリプレースで新たにシステムを導入していくというステップで段階的に導入を進めている。
一気に導入を進めてしまうと、社内の混乱や反論を招くことになりますが、徐々にリリースしていくことで、違和感を感じさせずになじませることができます。
小規模展開から徐々に機能を足していく方法は、ITスタートアップでも良く用いられる方法で、改善しながら進めていけるというメリットがあります。
【ビジネスエンジニアリング株式会社】現場データの経営指標化
データの活用を進めたというDX化事例です。
経営層が、「今年は売上100億!」と言っても、現場では「そんなの無理だよ」という声があったりします。
経営層と現場の認識を、データを活用して合わせていくという施策です。
◯ いいなと思った点
経営層と現場層(設計、製造)を原価を仲立ちとして連携させることで、全体最適化を提案した。
ITシステムの導入も行っているようですが、「経営層と現場層の分断を改善する」という目的がはっきりしている点がいいなと思いました。
IoT化は現場の声で進められることが多く、ITシステムは経営層の声で進められることが多いようなので、データを使って両者が納得できるようになると、分断が改善されるのではないでしょうか。
【株式会社IHI】デジタル人材の育成
人材の育成もDX化の1つです。
DXエンジニアを雇うのは難しいので、社内で育成するというのは、他の企業でも実践すべきだと思います。
デジタル人材の育成のノウハウがどこから来ているのかがやや不安点ではありますが、施策としては素晴らしいですね。
◯ いいなと思った点
幅広いスキルや業務知識を有した人材が集まった結果、コーポレート部門が単体で推進するよりも多様なアイデアが生まれやすく、良い風土醸成がなされた。
部署異動による人材流動性の向上が生まれているようですね。
転職を繰り返して、自分にあった場所を見つけるのが流行ってきていますが、社内でもこのような異動を行うことで、自分にあった場所を見つけることができるようになるのかもしれません。
また、社内ベンチャーを立ち上げて、ITを使って自由に製品を作ってもらうような施策もあったらいいなと思います。
DX(デジタルトランスフォーメーション)エンジニアに必要なスキル
DXエンジニアになって、非IT企業にITの力で貢献したいという人もいると思います。
また、需要は山ほどあるので、キャリアステップとしてDXエンジニアを目指したいという人もいるでしょう。
そんな人のために、DXエンジニアに必要はスキルを解説します。
プロジェクトマネジメントスキル
DXエンジニアは開発者ではなく、企画・設計者となるので、プロジェクトマネジメントスキルが必須です。
DXに必要なITシステムを導入するだけなら開発としての技術が求められるわけですが、それはDXエンジニアではなく、PHPエンジニアとかAWSエンジニアを募集すればいいだけです。
問題をどうやって解決するか、どの技術を使って解決するかを判断していく力が必要になるため、PMの経験をしておいた方がいいでしょう。
非IT業種の知識
DXは、主に非IT業種をITの力を使って変革していく役割を持っているわけですから、非IT業種の知識が必要になります。
例えば、飲食店にECサイトや仕入れ管理システムを導入しようとした際に、仕入れから販売までどのような流れで行われているかを知らなければいけません。
実際に飲食店で働くのが一番ですが、クライアントにしっかりヒアリングできるスキルがあれば問題ないでしょう。
簡単に説明して説得できるスキル
非ITの人に、IT用語を使ってもまず通じないですし、怪しいものとして受け取られることもあります。
できるだけIT用語を使わずに分かりやすく説明するスキルは必須です。
普段の仕事から、エンジニア相手でもIT用語を使わずに話すように意識すれば、できるようになってきます。
たまに難しい用語使いすぎて、エンジニアの僕でも何を言ってるか分からない人がいますが、エンジニア相手でも難しい言葉は使わない方がいいと思います。
DX(デジタルトランスフォーメーション)エンジニアになるために
上記で書いた、DXエンジニアに必要なスキルを身につけるために、どうやって学んでいけばいいのかについて解説します。
設計・企画などの上流工程の実務経験を積む
まずは今の会社や案件で、企画や設計を担当するようなポジションを経験することです。
実務経験が浅いと、こういった上流のポジションに抜擢されることは少ないのですが、それでも積極的に手を上げていれば数年でなれると思います。
また、コンサルタントになるとか、CTOになるとか、PMのポジションに抜擢してもらえる企業に転職するのもいいでしょう。
まずはIT企業でプロジェクトを管理する方法を経験することで、DXエンジニアに必要はプロジェクトマネジメントスキルが身につきます。
フォスターアカデミーで学ぶ
フォスターフリーランスも運営しているフォスターネットの、「フォスターアカデミー」というスクールでは、DXエンジニア向けの講座を提供しています。
フォスターフリーランスで案件を請けると受講料がタダになるので、フリーランスエンジニアの人は、フォスターフリーランスを併せて使ってみることをおすすめします。

Udemyで学ぶ
動画学習サイトのUdemyで「DX」と検索してみてください。
かなり多くの講座が販売されているので、どれか1つ選んで受講してみるといいでしょう。
ベストセラーになっていて、評価が高い講座を選んでおけば間違いないです。
まとめ: DX(デジタルトランスフォーメーション)について理解しておこう!
今回は、DXについて解説しました。
これからは、全ての企業がIT企業となる時代ですから、どんな企業にもITシステムの導入や、ITを使ったサービスの提供が必要になってきます。
そんな時代に適用していくために必要とされるのが、DXエンジニアです。
非IT企業で働くのは億劫になりますが、これからの社会を良くしていくために、DXエンジニアへの道を進む人が少しでもいてくれると嬉しいです。
DXエンジニアの需要は無限大に増えていくので、早めにDX経験を積んでおくと、今後仕事に困らなくなりますし、単価も高くなっていくはずです。
プログラムを書かなくても生き残っていける職種なので、年齢が高くなってきて、転職やフリーランス案件を探すのが難しいという人にもDXエンジニアはおすすめのキャリアポジションです。
ここまで読んでいただきありがとうございます。DXへの理解が進んでくれれば幸いです。
それでは!